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庭にヒツジが・・ [イラン滞在記1995年~99年]

私達が住んでいた2軒目の家でのこと。
朝、下の子を幼稚園に送って行こうと庭に下りると、
何かもくもくとした大きい物体が動いている・・・

「えっ!なんでこんな所にいるの??・・・羊がっ

一戸建ての庭で羊が一匹、自由に動いています。

2軒目の家は、1階が納戸と広いガレージ。それに続く庭。
外壁と門扉は大きく高く、外部から中の敷地は覗けないようになっています。
2階に大家さん一家が住んでいて、
私達家族は2階の大家さん宅とは同じ間取りの、3階に住んでいました。
もちろん外階段付き、玄関は独立しています。
2軒目の家・・というのは・・・
ここテヘランに来て
まず数か月前に赴任していた夫が選んでおいた家に住み、
その後2回の引っ越しをしたので、3年半で計3軒の家に移り住んだのでした。
なぜかテヘランに駐在している日本人はよく引越しをします。
もちろん、最初から最後まで同じ家に住む人もいますが、たいがい1回は引っ越しを
経験します。そのお話はまた何かの折に。。。

私が息子を送って帰ってくると・・
庭には太った大家さんの奥さんとヒゲの業者風の男がいて
・・と言っても、イラン人男性はほとんどヒゲがありますが。。
(ひげは大人の男であるシンボルのようなものです。)
ちょうど、ガレージのところで羊を捉えて首をかけようとしているところでした。

奥さんは私に
「私の病気が治ったから快気祝いなのよ。」
「これから羊を殺してお肉にするから見ていなさい。」
・・・と。
そう言えば奥さんは1、2週間みかけなかったが、入院をしていたのでした。
一瞬、見ていようかどうしようか迷ったのですが、
私はやっぱりそれを見ていることはできないと
自分の部屋にあがって、時々カーテンの陰から薄目を開けて
様子をうかがっていました。
吊下げられた無残な羊。
ころがっているもくもくのコートのような毛。
庭から引いたホースの水で血をジャージャー流していました。

ここはテヘランでも高級住宅が軒を連ねる都会の家。
今でも家庭で生きた羊をこうやってお肉にして親戚中でお料理をして
お祝いするんだ・・・・・・」

伝統的な行事や宗教儀式が消えつつあり、また簡略化され、
継承のためだけに残している文化に他人事だったりもする日本人。
そんな現代の日本からやって来て、突然知識もなく生活を始めると・・
こういう事が妙に不思議でいて新鮮だったりしたのです。

でも、私はしばらく下へは降りて行けずにいたのです。。。。



                                   イランのタイル細工

イランはカスピ海とペルシャ湾にはさまれ、国境をイラク、トルコ、アザルバイジャン、
アルメニア、トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタンの7カ国と接している国です。
正式国名はイラン・イスラム共和国
面積は日本の約4.5倍で人口は約7000万人です。(2006年)


皆様へ

ご訪問いただきありがとうございます。
わたくしたちがイランに滞在していたのは今からおよそ10年ほど前になります。

お話の内容が現在のイランとは違うものになっていることもありますので
その点はどうかご了解いただければと思います。
そして、私の滞在目的が観光ではなかったので、これからイラン方面の旅を
考えていらっしゃる方には参考になるものではないかもしれませんが、
ごめんなさい
こんな感じで,ほんの少しイランの香りがする思い出話などを
時々ゆ~っくり更新していきます。  

外務省 海外安全ホームページ 
rino


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コメント 23

julliez

まさにちょっとした儀式ですね。^^;
中近東の男性のヒゲ率は100%でしょうか。
日本でもクリエイティヴ系のお仕事な方ってアラブ系を髣髴させますね
^ω^
by julliez (2008-02-05 18:25) 

nachic

恐ろしいです。私も、正視できる自信はありません。
でも実際のところ、昔は、家畜をペットのように大事に育てて
乳をもらい、必要な時、解体して肉に、というのが当たり前
だったのですものね。
人間が食べるものは、なんらかの犠牲の上に成り立っているの
ですし、見ないだけで、毎日なにかを殺しているのですよね。
命をもらっているのですから、残さず大事に食べたいです。
そういえば、昔は近所のひよこやさんに遊びに行くと、よく鶏
絞めてたの思い出しました、、。
by nachic (2008-02-05 18:30) 

Baldhead1010

スケープゴート・・・。
by Baldhead1010 (2008-02-05 20:17) 

jyoji-san

10年以上前、amaguriさんがオーストラリアのペンフレンドの
家に生徒達や父兄と遊びに行った時、歓迎の意味で
子羊を殺してご馳走すると言われて驚いたamaguriさんが
猛抗議をしてとりやめになった話を聞いたことがあります。
「私たちのもてなしで、子供の羊を殺すなんて信じられへん」
と今でも思い出すたび怒っています。
(ブログイラスト担当のjyoji-sanより)
by jyoji-san (2008-02-05 20:25) 

ひろママ

私も遠慮するでしょうね~~
日本では鶏をするって言うのを聞いたことがありますが、それより大きいんですもの~~
ホースでジャージャー・・・・リアル~
ゆっくりで良いですからいろんなお話聞かせて下さいーーーー
知らないことばかりで凄く興味津々です
タイルの綺麗さに驚いてます
by ひろママ (2008-02-05 21:04) 

mint_tea

私もオーストラリアで、羊ではなく豚の丸焼きディナーいただいたことがあります。
さすがオーストラリア!とある意味感動しましたが、嫌悪感はなかったです。
まぁ、見たのは既にほとんど焼きあがりつつある状態でしたので、
あまりリアルなところは見ずにすみました。。
タイル、きれいですね~。カーペットかと思いました。
by mint_tea (2008-02-05 21:16) 

いのちの食べ方、ですね(^.^)
人間は何かを犠牲にして生きる生き物ですね。
イランの香りがする思い出話☆楽しみにしています。
by (2008-02-05 21:43) 

naomama7

うー、見たいような、見れないような。。。
その場所にいたら、きっと外に出られなかったでしょうね。
イランのタイル細工、色がとても素敵です。
次回も楽しみにしていまーす。
by naomama7 (2008-02-05 21:53) 

noie

目の当たりにするとやっぱり見ていられないですね。
料理とは、生きとし生けるものの命をいただく事なので、
美味しく料理をして、感謝していただく事が大切だと
思います。
by noie (2008-02-05 22:16) 

マダム・リー

大家さんの奥さんは「へ?何で?」という感じなんでしょうね。
でも、やっぱり私も見る事ができないと思います。
知ってるようで知らない中東の人々の日常生活のお話、
rinoさんが体験した面白い事件など、これから楽しみに
しています。

タイル細工、美しいです!
by マダム・リー (2008-02-05 22:33) 

もとこさん。

食べますが、屠殺は絶対に見たくないです。でも皆さん書いていらっしゃる様に、昔は飼っている鶏を絞める話はよく聞きました。生活習慣の違いで、それが当たり前の社会ではなんでもないことがそうではない人から見たら信じられないことって沢山ありますよね。
欧米人はお皿に乗った尾頭付きの目玉が怖いそうですね。
by もとこさん。 (2008-02-05 22:38) 

miffy

去年春に行ったチュニジアの道路沿いの焼肉屋さんには毛皮だけになった羊さんの下で生きた羊さんが座ってました。
チュニジアの人はお肉は新鮮なものに限ると言ってました。
イスラムのタイルって素敵ですよね~
by miffy (2008-02-05 23:53) 

見てなさい・・・といわれても、とても正視できるものでは・・・・
私なら、そのあと、どうぞ・・と出されても、躊躇してしまいそうです。
お国違えば、慣習も違うという、典型的なお話ですね。
今後も、いろいろなお話を伺えるかと思うと楽しみです。
by (2008-02-06 00:30) 

めぎ

ぶら下がっている牛や羊や豚や鳥やウサギなどは見慣れていますが、以前、豚の屠殺のドキュメンタリーを最後まで見られませんでしたからねえ・・・カーテンの隙間から、私もちょこっと見るかも。
庭に出たら羊がいるのって、びっくりですねえ。メエメエ鳴いてたんですよね・・・
by めぎ (2008-02-06 05:19) 

Ballacki

うううう、想像しただけでも怖かったです・・・・。
でも、そんなこと言っていてもそうやって屠殺した肉をしっかり食べているのに・・・・。
by Ballacki (2008-02-06 07:05) 

Inatimy

私も以前、クリスマスにスペイン人家庭でそこのヤギをご馳走になりました。 目の前で、見るのかなり怖いですが、私達の見えていないところで、牛さん・豚さん・鶏さんが、その過程を経てスーパーに並んでいるわけですものね。 無駄なく大切に扱って、「いただきます」の感謝を忘れないようにしないといけないですね。
by Inatimy (2008-02-06 07:51) 

gehirn

私は見ているかもしれません。
残酷なのもわかるし、かわいそうだと思いますが、自分がやっていないだけで、他の誰かがやってそれを自分が食べているわけです。
小動物ですが、学生時代、実験で何匹もの動物を犠牲にしてきました。
そのおかげで、社会が成り立っているのだと思います。

ちょっと真面目になってしまってごめんなさい。
イランのタイル細工すばらしいですね。
by gehirn (2008-02-06 09:49) 

やおかずみ

rinoさん こんにちは
昔は日本でも、鶏やウサギを飼っていて、「つぶす」と呼んで
いましたが、家でさばくことがよくありましたね。
by やおかずみ (2008-02-06 11:42) 

なお

のっけから衝撃てきなっ!

でも、普段の食卓で食べてるお肉も
もとは生きてるのですよねぇ・・・
残せませんね。
by なお (2008-02-06 19:49) 

Mimosa

私は羊が動物の中でも好きな方で、ペットにしたいくらいだから、食べる為であっても殺すところは見れないですね。羊に限らず、他の動物もです。
もちろん、羊のお料理は大好きです!ラム(子羊)でも人間に食べられちゃうから、考えただけでも可愛そうですよね~。食べる時は可愛そうになるので、なるべく元の姿をイメージしないようにしています!これからは、お肉を食べる時は、感謝の気持ちを持つようにしようっと~。
by Mimosa (2008-02-07 01:39) 

rino

>julliezさま
イランでのひげ率はほぼ100パーセントに近いのではないでしょうか・・
私は成人男性でひげがない人を見かけたことはないような
気がします。ひげがないのはお姉さん系の方・・?という意味かしら?
ちなみに日本人駐在員はひげを生やして作る人もいますし、
無い人もいます。

>nachicさま
私も自分が食べる時はあまり気にしてないです。
気にしていると、食べられなくなってしまいます。
改めて考えると、いろいろな犠牲のもとで食事をしているんだなと
感謝する気持ちになりますね。

>Baldhead1010さま
ここでは羊が主流なのですが、
古くから伝わる同じようなことなのでしょうね。

>amaguriさま
anaguriさんのオーストラリアでの経験はきっと
その土地に伝わるおもてなしの一つだったのでしょうね。
普段は殺されるところを目にしてないだけで普段は私達も
そんなお肉を食していることになるのですが、
やはり目の前となると・・抵抗があったのでしょうか。

>ひろママさま
「郷に入れば郷に従え」で文化のひとつだから見ていようかとも
思ったのですよ。でもそれがあまりに強烈すぎて
夜眠れなくなったらどうしようかと思い・・・遠慮してしまいました。

>mint_tea さま
旅をすると、いろいろな国や地方のもてなしの仕方があるものですね。
豚の丸焼きをいただいたなんて、良い経験ですね~

>夢空さま
本当に命をいただいているのだな~とつくづく感じますね。
家庭で大きい動物を殺して食べるというのは驚きました。

>naomama7さま
けっこう大きな羊さんだったのですよ。
せっかくの文化なのだから見ていようかと一瞬考えたのですが、、、
怖がりなので、ちょっとだめでした。。。

>noieさま
お料理の先生のお言葉・・身にしみます~
美味しくお料理してしなくてはいけませんね!

>マダム・りーさま
まさに、「珍しいでしょうから、見ていれば?」ってな感じだったと
思います。
きっとイランではそんなに珍しくない行事なのでしょうが、やはり
現代ではある程度裕福でなければできないことかもしれません。

>もとこさま
確かにそうですね。日本人は魚の生け造りは全く抵抗ないですものね。
これぞ習慣や文化の違いということでしょうか。
自分が生きてきて培ってきた常識で考えてはだめだということが
沢山ありました。

>miffyさま
私達がすんでいた地区のお店にはぶら下がった姿はなかったですが、
少し行くと、店先に毛をはがされた羊がぶら下がっていました。
確かに新鮮だということなんですよね。

>自由人さま
向こうの方にとっては、驚くことではないののでしょうね。
マグロをさばくのと大差はないのでしょう。
これぞ文化、習慣の違いなのでしょうね。

>めぎさま
ドイツもうさぎさんの肉が形のまま売ってますね。
お肉になっていれば何でもないこと、美味しく食するのに、
屠殺は見た経験がないと、なかなか始めは勇気がいるものですね。

>Ballackiさま
せっかく異文化を経験できるチャンスだったかもしれないのに、
ちょっと怖くて、見られませんでした。。。
想像すると怖いですよね。

>Inatimyさま
お店でお肉になっていれば抵抗ないのに・・ですよね。
ヤギの肉は私たぶん?・・食べたことないと思います。
どんなお味なんでしょうか・・・

> gehirnさま
私も一瞬、見ていようか・・と迷ったのです。
でもそれが後で映像のように強烈に頭に残ってしまったら
どうしよう・・と思ってしまって。。。心配性ですよね。
かわいそう・・というよりも、
実は自分のためだったのですね。私って。。。^^;

>やおかずみさま
少し昔にさかのぼれば日本も鶏などをさばいていたそうですよね。
それと同じことなのかもしれませんね。
ただちょっと体が大きい羊だった・・というだけで。。

>なおさま
自分たちの習慣や文化にはないことが行われていたりするので
不思議なことがあったのですよ。
食事は感謝していただかないといけないですね。
この記事を書いて改めて思いました。。

>Mimosaさま
動物好きの人にはちょっと耐えられないシーンなのかもしれませんね。
鶏肉もにわとりだと思うとちょっと怖いです。
私も同じく想像はあまりしないように美味しくいただいています^^
by rino (2008-02-07 10:03) 

響

日本にいては中々見れないシーンですね。
僕の親父の代は良く飼っていた牛をさばいてたそうですが
子供だった親父はなついていたさばかれるのが辛かったそうですが
肉は美味かったって言ってました(笑)
by (2008-02-08 19:52) 

hikarian

私も怖くて見ることはできないですね。
国の生活習慣って超えられないものがありますね。
イランのタイル細工、綺麗ですね^^
by hikarian (2008-02-09 23:15) 

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