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イランの食卓 [イラン滞在記1995年~99年]

自宅の中庭でキャバブを焼くババイさん。この日のご馳走の一品。
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テヘラン滞在中、毎年自宅に招いてくれたババイさん一家
イランではごく平均的な家庭ではないかと思われます。
しかし、日本の平均的家庭よりずっと暮らし向きは質素なのです。


下の写真は・・
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1.jpg
ババイ家に伺うと、まずお茶、果物やピスタチオなどが出されます。
大きなテーブルや椅子がないのもイランでは普通です。
絨毯の上にビニールの大きなクロスを敷いて、それが食卓に早変わりします。
これは考えようによっては、なんて便利なものなのでしょう・・!
部屋をいろいろな用途として使えるんですね。
女性達はスパッツやズボンの上にギャザースカートのようなものを
はいていますから、絨毯の上に座るときは胡坐を組んだりもします。



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そして、そろそろ食事の時間・・となると、果物やお茶のカップはかたずけて、
今度は別のお食事用のクロスを敷きなおして、奥さんの手作りのたくさんのお料理が並べられます。
そこでおもてなしの米料理(ご飯)は欠かせません。
ババイさんが炭火で焼いたキャバブ、奥さんが作っておいてくださった煮込み料理魚のフライ
サラダヨーグルトなど。
フォーク、スプーンを使っていただきます。インドのように手で食べたりはしないのですよ。
私達一家を招いてくださって、日々の食卓より、ずっとずっと豪勢なメニューだと思います。
イランのヨーグルトは甘いのではなく、きゅうりや、おろし玉ねぎ、おろしにんにく
などが入っています。私は好んでは食べなかったのですが、考えてみるとヘルシーですよね。
あれ、真ん中にヒミツの特製葡萄ジュースが・・・ふふふ・・



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ババイ家はご夫婦と一男二女の5人家族。右二人が娘さん。
気が付いた方もいらっしゃると思いますが、
女性達は部屋の中でもスカーフをはずしません。
きっと家族だけのときははずしているかもしれませんが、この日は私の夫もいますし、
他人のお客さんを招くというときはスカーフをしたままなのです。
これに関しては、イラン人家庭によってさまざまですが、ババイ家のようにするのは
一般的であると思います。
外国人だから警戒心があるのでは・・とか考えがちですが、
そうではなく、質素で慎ましやかであると考えるべきだと思います。
反対に、金持ちで海外経験があるような家庭の人は
同じような場面でスカーフをはずしている場合があります。

私はと言えば、イスラム教徒ではありませんから、
親しくさせていただいているババイ家ですから、家に入るや否や
着てきたスカーフ、コートは外させていただきます。
これに関しても、彼らは私達が外国人なのだから当然と考えています。



その次の年のババイ家。
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ババイ家は引越しをして、ちょっと前より広い家になりました。
リビングにはソファセットも。

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でも、やはり食卓はありません。
絨毯の上にビニールクロスを敷いて。
いくらでもお皿が並べられるように、大きな大きな食卓のできあがりです。
銘々のお皿に盛られている、黒いスープのようなお料理は私のリクエストです。
「ホレーシゴルメサブジ」・・・羊肉と野菜と豆の煮込み。
野菜は玉ねぎ・パセリ・ほうれん草・にら、・・・など他に数種類のハーブやしょうが、
野菜を刻んで一緒に煮込みます。これをご飯にかけていただきます。

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イラン人はお客さんに対し、お料理を食べきれないほど出してもてなしてくれます。
ご飯も山盛りです。
ぴったり食べきるより、有り余るくらい沢山出してご馳走するのがイラン流
おもてなしの心なのでしょう。
質素な生活の中にも、このように人を招いて食事を共にし語らう時間。
娯楽の少ないイランの生活ではこのような人との関わりがとても大切にされていると感じました。

温かいババイ家のおもてなしの心に触れながら、
こんなに文化が違うのに、やっぱり人の心って同じなんだ・・と
いえ、昨今ともすれば忘れがちな気持ちを改めて思い出させられるように・・
人の優しさをかみしめていたものです。


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mint_tea

ヨーグルトにきゅうりやにんにくを入れるのですね~(@_@)
フロアーに敷物を敷いて食卓にするというのも、へ~って感じですが
日本人には意外と受け入れやすいかも、って思いました。
靴も脱いで上がっているようですし。
食べきれないで残すことの方が、もてなした側にとっては喜ばしいこと
なんでしょうね。
素敵な経験ですね。ヒミツの葡萄ジュースも♪
by mint_tea (2008-04-10 21:27) 

noie

心尽くしのお料理の数々、温かいおもてなしの心が伝わって
きます。ババイ家の人々は、きっとrinoさんご家族とお話
するのが、何よりの楽しみだったのかもしれませんね。
ホレーシゴルメサブジ・・・何だか、おまじないのような言葉に
聞こえます。(*^^*)
by noie (2008-04-11 00:54) 

もとこさん。

素晴らしい経験をなさいましたね。rino家にとってもババイ家にとっても楽しい時間でしたでしょうね・・・
欧米人にとって以前の日本の家も同じように見えたかもしれませんね。
食事の時は折りたたみ式のテーブル(ちゃぶ台)を出し、寝るときはそれを片付けて床に布団を敷いてベッドにする・・・
なんだか毎日がピクニックみたいで楽しいですね。
by もとこさん。 (2008-04-11 01:25) 

julliez

ヒミツの特性葡萄ジュースにニヤリ^ω^
ケバブは仏蘭西でもファーストフードと言ってもいいくらいスタンダードです。
エキゾチックな香りが大好きです。
そしておもてなしの心にはスタイルは違えども国境はありませんね。
by julliez (2008-04-11 02:55) 

めぎ

ヨーグルトにキュウリやニンニクを入れるのはギリシャもそうですよね。うちでもよく作って食べてます。
お茶の時間と食事とでは敷物が違うというのが興味深いです。秘密の葡萄ジュースもあるし、素晴らしいおもてなしですね。
コーラの瓶が命名の席に並んでいるところも面白いですね~コップに入れずに瓶で出すのですね。
by めぎ (2008-04-11 05:44) 

naomama7

床に座って食べるのは違和感がないので
私たちに向いていそうです。
ほんわかと。。。人の温もりに溢れているお写真です。
お子様たちもこんな貴重な体験をされているのですね。
今の日本は人の繋がりが薄くなっている気がするので
こういうお写真をみると安心します。
by naomama7 (2008-04-11 07:54) 

Ballacki

見知らぬ国に暮らして、現地の方の温かいおもてなしはとても素晴らしい思い出になっていらっしゃるのでしょうね^^
秘密の特製ブドウジュース、ふふふ、いいですねw
by Ballacki (2008-04-11 08:22) 

いっぷく

あたたかく迎えられている雰囲気が伝わりますね、
国際交流ってこういう家族同士の近づきからですね。
とても好感持てるお付き合いです。

by いっぷく (2008-04-11 09:23) 

miffy

レバノン料理が各地に伝わったということでしたので、中近東のお料理ってどこも似てますね。
トルコやレバノンも野菜とヨーグルトを混ぜますしね。
家の中では靴を脱ぐっていうのも同じですね。

by miffy (2008-04-11 09:40) 

Inatimy

床に座って食事をするのって、落ち着きますね。
天井の高い大きなお部屋で、
クロスの上のたくさんのお料理を囲んで、
とっても楽しげな様子が伝わってきました♪

by Inatimy (2008-04-11 20:30) 

bonheur

rinoさん、凄く貴重なご経験をされていますね!
イランという国名を聞くと、「治安が悪い国」というイメージが先行しますが、そこに住む人々はとっても温かいのですね。
rinoさんの記事には、いつも何かを考えさせられます。
by bonheur (2008-04-11 22:11) 

夢空

豪勢なお食事ですね~。
おもてなしの心、日本の田舎にも共通しているなーっと思いました。
質素な生活の中で、出来る限りのことをしてお客をもてなす。
娯楽の少ない生活というのが共通点なのでしょうか。
義父は、よく、山で知り合った登山者の方を家に招いて泊めたりなど
多々ありました^_^;
by 夢空 (2008-04-11 23:46) 

Mimosa

異国で、たくさんのお料理での温かいおもてなしは、とても素敵な経験ですね~☆現地の家庭に招かれてのお食事は、どんな素晴らしいレストランで食事するより、楽しく美味しく、いい思い出となりますよね。
お料理や食事のスタイルの違いもとても興味深いです!イランのヨーグルトは、デザート感覚でなく、おかず感覚なんですね~。
by Mimosa (2008-04-12 00:35) 

nachic

うわ〜♪嬉しい!!久しぶりにrinoさんのblogに来れました!
どうしても、見られなかったのに、、??
ウキウキです(〃▽〃)☆

イランの食生活も風俗も、とても興味深いですね。
おうちにお呼ばれするなんて、ホントに嬉しいですね。





by nachic (2008-04-12 02:56) 

自由人

お家のなかでピクニックしているみたいですね。豪華なお料理もとてもおいしそうです。お子様お二人のピースサイン!イランの生活にすっかりなじみ、リラックスしている様子が伺えます。小さい頃のこのような体験って、教科書では絶対学べない貴重な経験ですね。正直ちょっとうらやましいです・・・
by 自由人 (2008-04-12 04:11) 

なお

ピクニックみたいで楽しそうな食事風景ですね♪
犬がいる我が家では、
悲惨な状態になりそうですが~^^
(食事部屋に犬を入れなきゃいいのか)
ヒミツの葡萄ジュースは
rino様のご主人用に・・・かな?
ババイさんも一口舐めたかしらん?
by なお (2008-04-12 04:32) 

rino

>mint_teaさま
靴を脱いで上がるところは日本的で落ち着ける
感じがしました。
ババイさんには子供もなついていて、私達家族を
ヘルプしてくれる大切な人でした。

>noieさま
ホレーシは煮込みのことです。
お料理の名前はたしかにおまじないのようですね。
ババイさんの片言英語がそれはよく通じるんですよ。

>もとこさま
イラン人はピクニックも大好きですよ。
娯楽が少ない国なので、気候の良い休みの日は昼も夜も
公園はビニールシートをしいてお弁当を食べる人でいっぱい
になります。

> julliez さま
そうですね。人の心に国境はないと感じることが多々ありますね。
なれない外国生活では親切にしてくれる人は神様のように
ありがたく感じます。

>めぎさま
めぎさん宅でも甘くないヨーグルトを召し上がることあるのですね!
ギリシャもそうなんですね。イランでも茄子のお料理がたくさん
ありますし、ギリシャやトルコとも少し似ていますね。
レストランでもコーラはビンのままでてくるところが多いですね。

> naomama7 さま
ババイさんは子供が大好きでうちの子供達をとても
可愛がってくれました。そして、息子はいつもババイさんに
抱っこされて、遊んでもらっていたんです。
子供達もババイさんは「イランで一番会いたい人」・・だと思います。

>Ballacki さま
ヒミツのジュースは手作りだと思います。
貴重なものをありがたいですね。普通のイラン人の生活を
垣間見ることはなかなかできませんから、とても良い経験にも
なりました。

>いっぷくさま
なかなか家にまで招待されることは縁がなければ
できないことですから、とてもありがたかったです。
またお会いすることが簡単ではないのですが、
いつか再会してみたいと思っています。

>miffyさま
レバノンのお料理が伝わったのですか・・
中近東の国々も同じようなお料理があるんですね。
意外と日本人受けはしますよね!

>inatimyさま
靴をぬぐところは、日本と同じでホッとなごみました。
ご家族とは言葉があまり通じなかったのですが、
ババイさんの片言英語でなんとか通訳。
子供はお兄さんお姉さんに遊んでもらったり楽しい経験でした。

>bonheur さま
イランに行くって決まったとき、又は帰ってきたとき、
周りの人に「よく子供連れて行ってきたね」と言われました。
やはり治安が悪いイメージはありますよね。
確かに、子供を一人で歩かせたりは決してできませんが、
行っている間戦争のような大きな問題はなかったのでよかったですね。

>夢空さま
そうそう、なんだか田舎に行ったような素朴さがあったかもしれません。
夢空さんのお父様も素朴な心温かい方だったんですね!
都会では今、ひととの繋がりが希薄になっている世相があるので
イランでの経験は心に染み入りました・・

>Mimosaさま
家庭料理はレストランにはないメニューが食べれたり、生活の様子も
わかって、とても良い経験になりました。
おもてなしの心もすごく伝わってきて、とても温かな気持ちになりました。

>nachicさま
コメントありがとうございます!
なかなか旅行では行かない国なので、夫の仕事で行くことになって
良かったと思いました。はじめはすごく緊張しましたが・・

>自由人さま
子供達はそれぞれ小学校5年になる時、2年になる時に
日本に帰ってきましたが、その経験はやはりその後の
子供達の土台になっているような気がします。
私も小さい時にこんな経験できたらな~と羨ましく思いますね。

>なおさま
なお家では・・・このようなお食事は大変なことになりますね!
そういえば、イラン(ペルシャ)では犬はほとんど見かけません
でしたね~~。日本人で飼っている人は友達にいましたが、
イラン人が犬をペットとして飼っているのはみませんでした。
ペルシャ猫は居るのかな~~?


by rino (2008-04-12 19:12) 

Nicoli♪

温かいババイ家のおもてなしの心に触れながら、
こんなに文化が違うのに、やっぱり人の心って同じなんだ・・と

私が海外旅行をするのも、その心に触れたいからだと思います。
一期一会で感動するんですよね。
by Nicoli♪ (2008-04-13 10:31) 

やおかずみ

現地に密接した貴重なお話ありがとうございました。
特に食事にテーブルを使わない習慣に興味がありました。
イランの人たちの生活の状況とても勉強になりました。
by やおかずみ (2008-04-13 10:52) 

gehirn

文化の違いを感じながら、他国の食事をするというのは
結構緊張するものでしょうか。
それに、大きなクロスだと手を伸ばさないとお料理が
食べられない、なんてこともおありなのでは?
遠慮してられませんね。
by gehirn (2008-04-13 14:42) 

amaguri

イランのことをこんなに詳しく教えてくれる人は他にいません。どの国に行かれてもお友達を大切にされるrinoさんご一家は素晴らしいです。そしてまた相手の方々も素敵です。その国の文化の中に溶け込んでいくのは本当に大変だと思いますがおかげで私は見知らぬ国のご家庭のおもてなしを拝見させて頂く事ができました。有難うございました。
by amaguri (2008-04-14 12:58) 

ひろママ

ご主人が「イランの人」って感じで男らしいですね~
本当に家の中でピクニックみたい~
あの飲み物は日本で言うコーラみたいな物ですか?
こんなにたくさんのお料理凄いですー
それに家族皆さんでおもてなし、心温まりますね
やっぱり女性はスカーフ取られないんですね・・・
by ひろママ (2008-04-14 20:39) 

rino

>Nicoli♪さま
旅先で人の温かい心に触れると、沁みますよね~~
私はこういういい経験をしていながら、自分が何も恩返しをできて
いないような気がしています。

>やおかずみさま
絨毯の上に敷物をしいて食べるのは、
別の家庭にお邪魔したときも同じでした。
しかし、もう少し裕福な家庭では西洋式にテーブルと椅子が
あります。やはり「格差」はあると感じました。

>gehirnさま
何かわからないものが出てきたりするので少し緊張したことも
ありました。しかし、イラン人の方も何も知らない外国人に
自分達の文化や家族を紹介しようと思っているので、
いろいろ教えてくれます。
食事は奥さんがお料理を勧めてくれたり、取って下さったりと
親切に教えてくれました。

>amaguriさま
遠慮している私達を家庭に招待してくれたババイさんには
とても感謝しています。
今こんな良い思いでとして残っているんですから。
もう、会うことはなかなか難しいのですがイランに行く機会があったら
訪ねてみたいと思います。

>ひろママさま
イラン人はみなヒゲをはやしていますからね!
やさしくて力持ちのババイさんでした。
そして、何より何より・・うちの子供達をものすごく
可愛がってくれました。
貧しい家の女性は家の中でもスカーフをはずしませんね。




by rino (2008-04-15 08:02) 

Baldhead1010

カカとのフランス珍道中、行ってきます^^;
by Baldhead1010 (2008-04-15 22:08) 

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